【あか毛和牛・あか牛・赤牛】褐毛和種(あかげわしゅ)とその特徴について
黒毛和牛と聞けば知らない人もいないくらいには有名ですが、日本には「あか毛和牛」なるものも存在するのをご存知でしたか?
『赤毛??会津の赤べこのこと言ってんのかーっ!』
『そんな牛がいたとはーっ!!』
ってなった方(笑)は、この先を読んで「あか毛和牛」について詳しくなりましょう。
黒毛和種についてはこちらの記事をどうぞ▽
褐毛和種とは
「あか毛和牛」と言いましたが、正式名称は褐毛和種(あかげわしゅ)と言います。
褐毛は「かつもう」ではなくて「あかげ」と読むので覚えておきましょう。
この褐毛和種は「あか毛和牛」以外にも「あか牛」「赤牛」「あかうし」など様々な表記がされますが、すべて同じ褐毛和種のことを指しています。
ではこの褐毛和種ががどういった品種なのか見ていきます。
褐毛和種の立ち位置
褐毛和種は肉用牛で、4種いる和牛のうちの一種です。
和牛の中では黒毛和種についで、2番目に生産の多い品種となっています。
飼育頭数はその年によっても変わってきますが日本全国で20000~25000頭くらいです。
褐毛和種の歴史
褐毛和種は熊本と高知が生産地として有名なのですが、それぞれ「熊本系」と「高知系」と呼ばれています。
この2つは厳密に言えばルーツが違いますが、分類上は同じ褐毛和種とされているんですね。
両方に共通しているのは、朝鮮牛がベースになっていて、それにスイス原産のシンメンタールという品種をかけ合わせて改良していったという点です。
熊本系でははるか昔に土着した朝鮮牛が、高知系では明治時代になってから輸入された朝鮮牛が元となっているという違いがあります。
朝鮮牛は体質が強健で粗食に耐え、温厚な性格であったために、農作業における使役には向いていました。
しかし体格が小さかったため、肉用牛としては向いていなかったのです。
それを改善するために熊本と高知でそれぞれ外国種との交雑が試みられていったのです。
これが褐毛和種が生まれた背景としてあるのです。
何度も改良されていった結果、現在のような姿になり、1944年にこれら熊本と高知それぞれの牛を一括して「褐毛和種」と命名されることとなりました。
余談ですが「熊本系」の歴史は非常に古く、日本神話に出てくるほどです。
放牧をして農業を始めた頃から農耕用または運搬用として馬とともに飼われていたと伝えられています。
「熊本系」の名称は
・熊本あか牛
・あか毛和牛
・日本赤牛
「高知系」の名称は
・土佐和牛
・土佐あかうし
などと呼ばれています。
熊本系が大部分を占め、北海道や徳島など他の地域でも飼育されています。高知系は頭数も少なく高知県内のみに限られています。
褐毛和種の特徴
褐毛和種と言うだけあって、その名の通り体毛は褐色で、黒毛和牛よりも一回りほど大きな体が特徴です。
また、体が丈夫で暑さにも強く、穏やかな性格を持ち合わせ、さらには草を消化する能力にも長けているので放牧に向いています。
もしかしたら、熊本の阿蘇での光景で牛が放牧されているのを見たことがある方もいらっしゃるかもしれませんが、まさしくあれがあか牛です。
体格ですが、メスで体高130cm体重470kg程度、オスで体高140cm体重750kg程度あります。
熊本系と高知系では若干特徴が違うため、それぞれについて見ていきます。
熊本系
熊本系の毛の色は高知系に比べると淡い色をしています。
褐色というよりもゴールドに近いイメージでしょうか。
阿蘇周辺に放牧されていて、美しい景観保持にも寄与しています。
高知系
高知系は分かりやすい特徴があります。
「毛分け」と言われる、角、ヒヅメ、舌、しっぽの先など、ところどころ黒い牛が高知系の特徴で、黒いほうが好まれます。
褐色は褐色でも、目の周りやしっぽの先などを見て、黒っぽいのが高知系だと覚えれば分かりやすいでしょう。
(画像出典:全日本あか毛和牛協会)
景観保持にも役立っている
熊本の阿蘇の草原地帯は2013年に世界農業遺産として認定されました。
これはあか牛による功績が大きいです。
なぜなら、放牧されてのんびりと過ごしている景色、草原と牛とのコントラストによって美しい風景が保持されていることに加えて、牛たちが草を食べるので草原の草が伸び放題で荒れ地になるなんてことがありません。
このあか牛が阿蘇の美しい景観をはるか昔から守ってくれているんですね。
褐毛和種の肉質
さて、気になる肉質です。
一言で言えば、褐毛和種の牛肉の特徴は赤身とサシのバランスが優れていることです。
霜降りが売りの黒毛和種に肉質で若干劣るものの、適度にサシが入っています。
牧草を食べていることもあり、脂はβカロテンが沈着した薄いクリーム色で8~15%の適度な脂肪を含んでいます。
また、赤身はうま味を豊富に含んでいます。
『赤身志向だけれども、まろやかさもいくらか欲しい…』
『赤身の美味しさを体感したい!』
そんな人には褐毛和種が合っているかもしれません。
絶妙なバランスで黒毛とは違う味わい深さを感じることができるでしょう。
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